プロフィール
こんにちは、歴史大好きで東京でタクシードライバーをしているRiccaです。普段は東京の街を走りながら、道すがらの歴史スポットや古地図を眺めるのが好きです。今回は仕事を離れて、岩手県のとある地区を歩いてみました。自分の足で体感した「町の空気感」や「東京との違い」を中心にお届けします。
場所・アクセス
今回訪ねたのは、岩手県の中心部から少し離れた地区です。新幹線の盛岡駅から在来線やバスを乗り継ぎ、さらに徒歩で散策できる範囲に広がっています。東京からはおよそ2時間半ほどで到着できるので、週末の小旅行にも十分可能な距離感です。駅前からの道は広々としていて、人混みが少なく歩きやすいのが印象的でした。
見どころ
この地区は江戸期から続く歴史的な町割りが一部残っており、通りの並びや古い蔵造りの建物に当時の名残を感じます。東京のように高層ビルが立ち並ぶわけではなく、どこか「時間が止まったような静けさ」が広がっていました。歩いていると木の匂いや湿り気を含んだ土の香りが漂い、夏の東京では感じにくい「自然の近さ」を肌で感じます。最初は「のどかな田舎」という先入観を持っていましたが、実際に歩いてみると歴史と生活が溶け合った独特の町並みで、想像以上に奥深い印象でした。
Riccaコラム:岩手の町で感じた“時間の流れ”
はじめまして。一寿 鞠花(いず まりか)と申します。
私は「歴史を旅する」ことをライフワークにしている、旅好きアラフォーの女性です。
どこへ行くにも、ただ風景や名所を楽しむだけでなく、その土地の歴史を背景に重ね合わせるのが私の旅のスタイル。石垣のひとつ、古びた町並みの道筋に、数百年の時を超えて生きた人々の息づかいを想像することが、何よりの楽しみです。
今回の目的地は、長らく憧れ続けてきた岩手県盛岡市。
あの「壬生義士伝」の舞台を、いよいよ自分の足で歩いてみようと決めました。
過去から現在へ:旅に出るまでの道のり
思えば、私の人生の多くは「旅に出たいのに出られない」時間の連続でした。
母子家庭で娘を育ててきたため、経済的に余裕がなく、旅行はいつも“節約一辺倒”。高速バスや青春18きっぷを握りしめ、安宿を探しながらの強行軍ばかり。それでも旅は大好きで、無理をしてでも出かけていました。
転機が訪れたのは2022年。娘が社会人として自立したのをきっかけに、私自身も新しい仕事に挑戦しました。選んだのはタクシードライバー。意外に思われるかもしれませんが、自由度が高く、体力勝負の部分もあり、私にはぴったりでした。
安定した収入を得られるようになると、心にも余裕が生まれました。
「今度こそ、行きたい場所に行きたい方法で旅ができる!」――。
これまで抑えてきた旅心が、再び大きく膨らんでいったのです。
誕生月の決意:一泊二日の小さな贅沢
私の誕生日は11月。
いつの頃からか「誕生日には自分にご褒美を」と決め、旅に出るのが恒例になっています。
2023年の秋も同じように旅を計画しました。行き先の候補はさまざま。
長崎の坂道を歩こうか、高知で坂本龍馬を追いかけようか、あるいは三重で伊勢神宮に参拝しようか、島根や鳥取で神話の世界を辿ろうか――。
その中から最終的に選んだのは、かねてより心惹かれていた岩手県でした。
決め手は「一泊二日でも行ける」こと。そして何よりも、「壬生義士伝」の世界を歩きたいという強い思いです。
岩手という広大な舞台
岩手県を地図で見たことのある方なら、その広さに驚かれるでしょう。
面積は北海道に次いで全国2位。実に15,000平方キロメートル以上。四国4県を合わせたほどの大きさがあるのです。
それだけに、旅を計画するには工夫が必要です。盛岡、平泉、花巻、遠野、三陸沿岸……どこを切り取っても見どころだらけ。到底一度の旅では回りきれません。
そこで私は、今回の旅を「盛岡市」に絞ることにしました。
盛岡こそ「壬生義士伝」の吉村貫一郎が生まれ育った地であり、私にとって最も訪れたかった場所だからです。
魅力その1:平泉と中尊寺
まず岩手を語る上で外せないのが平泉。
奥州藤原氏が築いたこの地は、京都に匹敵する栄華を誇りました。中尊寺金色堂に立てば、平安時代の美意識と浄土思想が息づいているのを肌で感じることができます。
私も数年前に訪れたことがありますが、再訪したい場所のひとつ。歴史の時間に触れるとき、人は必ず「次はもっと深く知りたい」と思うものですね。
魅力その2:遠野の民話
そして遠野。柳田國男の『遠野物語』に描かれた民話の世界は、日本の原風景とも言えるものです。
かつて遠野の宿で地元の方から語り部の話を聞いたとき、まるで子どもの頃に戻ったような不思議な感覚を覚えました。妖怪や精霊の物語が、決してただの「昔話」ではなく、土地に根付いた信仰や生活そのものから生まれたのだと理解した瞬間でもありました。
魅力その3:水沢と新選組の縁
さらに忘れてはならないのが水沢。
ここには奥州胆沢藩があり、あの吉村貫一郎の出身地として知られています。『壬生義士伝』では、彼が家族を養うため、武士の誇りを捨ててまで新選組に身を投じた姿が描かれています。
水沢には吉村の碑や資料館もあり、いつか必ず訪ねたい場所です。
ただ今回は一泊二日という短い日程のため、次回以降の楽しみにとっておくことにしました。
いざ盛岡へ
そんな数々の魅力を胸に抱きつつ、今回の旅は「盛岡」に焦点を絞りました。
盛岡は、南部藩の城下町として栄え、現在も美しい城跡や古い町並みが残っています。加えて、わんこそば、冷麺、じゃじゃ麺といった食文化も楽しみのひとつ。歴史と食の両方が詰まった街です。
2023年11月19日。東北新幹線「やまびこ51号」に乗り込み、私はついに盛岡へと向かいました。窓の外を流れる風景が少しずつ北国の色を帯びていくにつれ、胸の高鳴りを抑えられませんでした。
おわりに:次回予告
こうして始まった「壬生義士伝を巡る旅」。
今回は序章として、私が岩手を選んだ理由やその魅力を語りました。
次回はいよいよ盛岡の街を実際に歩き、吉村貫一郎の足跡を追いかけます。盛岡城跡公園、南部家の歴史、そして壬生義士伝ゆかりの場所――。
どんな出会いが待っているのか、どうぞ楽しみにしていてください。
アドバイス
もし訪れるなら、日帰りよりも1泊をおすすめします。夕暮れや朝の空気は昼間とはまったく異なる表情を見せてくれます。また、歩きやすい靴を必ず用意してください。石畳や細い路地は東京の舗装道路と違い、不揃いな部分も多いです。食事は地元の食堂で郷土料理を試すと、さらに旅の楽しみが深まります。
読者コメント
「東京から行きやすいのに、こんなに落ち着ける場所があるとは知りませんでした!」
「歴史的な町並みと自然の匂い、両方楽しめるなんて贅沢ですね。」
「次回は私も泊まりで行ってみたいです!」
まとめ
先入観とは違った町の姿を体感できました。歴史の残り香と自然の匂いに包まれながら歩く岩手の町は、東京とはまったく異なる魅力を持っています。
次回は、この町の「夜の表情」を歩いて探ってみようと思います。
→ 旅はこちら
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