プロフィール
歴史と旅をこよなく愛するRiccaです。
今回の旅は広島。親しい方のお誘いにより、三日間の滞在をする機会を得ました。思い返せば前回の訪問は二十歳の頃で、平和記念公園とお好み焼きの記憶しか残っていません。今回は初めて宿泊し、街をじっくり歩いたことで、広島の「地形」と「歴史」に触れることができました。
場所・アクセス
広島市は中国地方の中核都市で、瀬戸内海に面しています。
新幹線で東京から約4時間、大阪から約1時間半。空路では広島空港が玄関口となり、市内まではリムジンバスで約45分。
市内には6つの川が流れ、路面電車やバス網も発達しており、観光に便利なアクセスが整っています。
見どころ
広島市は「水の都」と呼ばれるほど川に囲まれた地形で、戦国時代から交通の要衝でした。
毛利輝元が築いた広島城を中心に発展し、近代以降は工業都市として栄えます。
そして1945年の原爆投下という歴史的悲劇を経て、現在は平和記念公園や資料館を擁する「世界平和のシンボル都市」として世界的に注目されています。
街歩きでは、潮の香りや川風が心地よく、東京の密集した空気とは違う解放感があります。
Riccaコラム:広島の地形と歴史を歩く
世界に知られる街・広島
広島といえば、1945年8月6日の原爆投下がまず思い浮かびます。世界で初めて核兵器を受けた都市であり、その記憶は人類史の転換点でもあります。しかし現代の広島は、悲劇の象徴にとどまらず、平和への歩みを示す都市として世界から注目を浴びています。オバマ大統領の広島訪問や、2023年のG7サミット開催などは、その証左でしょう。
街を歩けば、確かに過去の影がある。しかしそこに同時に宿っているのは「希望の光」です。子どもたちの笑い声、川辺を歩く人々の穏やかな姿。広島はただの被害都市ではなく、未来へ向かう生命力を宿す都市なのだと実感しました。
川と山に抱かれた街 ― 広島の地形
広島市は「川の街」と呼ばれます。太田川をはじめ六つの川が市街を縦横に流れ、瀬戸内海へと注いでいます。街を歩けば無数の橋に出会い、川沿いを進むと潮の香りに包まれます。その背後には中国山地が控え、まさに「山と海の恵みを受ける街」といえるでしょう。
しかし同時に、市街地は三角州の上に築かれているため地盤が弱く、豪雨による災害を受けやすい土地でもあります。豊かさと脆さを併せ持つこの地形こそが、広島の運命を形づくってきたのです。
戦国の世に築かれた広島城
戦国時代末期、この三角州に目をつけたのが毛利輝元でした。1589年、彼は太田川のデルタに広島城を築きました。なぜ、この地が選ばれたのか。その理由は明白です。
川と海を使った水運の便。背後にそびえる山々による防御。広島は交通と防御の両方を兼ね備えた戦略拠点だったのです。毛利氏にとって広島は、西国支配の要衝であり、同時に天下を睨む「矛」でもありました。
その後、関ヶ原の戦いで毛利氏が西国へと押し込められると、広島は浅野氏の居城となります。広島藩42万石の城下町として整備され、以後二百年以上にわたり繁栄を続けました。広島は、武家政権の戦略都市から、藩政都市へと姿を変えていったのです。
平和記念公園と城下町の記憶
現代の広島を歩くと、まず目を引くのは平和記念公園です。原爆ドームの姿は、あの日の惨禍を強烈に思い出させます。しかし同時に、広島城の再建天守に足を運べば、かつての城下町の面影も見えてきます。城の堀や石垣、街の橋の配置。それらは戦国と江戸の息吹を今に伝えています。広島は過去と現在が重なり合う都市であり、その二重性こそが旅人の心を強く打つのです。
旅人としての実感
今回の旅で特に印象的だったのは「暮らしやすさ」です。十月にもかかわらず陽射しは柔らかく、風は温暖で、川沿いを歩くと心地よい時間が流れます。三角州に広がる市街地は風通しがよく、自然と都市が調和した姿を見せています。戦国の世には「守りの要害」だったこの地は、現代では「人々に寄り添う街」として息づいているのです。
アドバイス
広島観光は「徒歩+路面電車」がベスト。市内中心部は川に囲まれているので散策が楽しく、潮風を感じながらの街歩きがおすすめです。
また、地元の人と会話することで歴史や街の空気感がより深く理解できます。天候によって雰囲気が大きく変わるため、時間に余裕を持った旅程が安心です。
読者コメント
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まとめ
先入観とは違った広島の町の姿を、地形や歴史から改めて体感できました。
広島は、悲劇と希望、戦略と生活、自然と人為が交錯する街です。その地形と歴史を知ることで、私たちはこの都市の本当の姿に近づけるのではないでしょうか。次回は、平和記念公園や資料館での体験を記し、広島が世界に発信する「平和の声」を探っていきます。
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